螺旋式うぇーぶ

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バラノラが長文を書きたいときのためのブログ

カワイイは正義 そんな定義 誰が決めたの?

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2018年放送のHUGっと!プリキュアにて登場する、「LOVE&LOVE」という曲がある。

その中に、こんな歌詞が登場する。

 

カワイイは正義 そんな定義 誰が決めたの? ノーノーセンキュー

 

一瞬ほほうとなる歌詞のような気もするけど、ん?となった人もいるのではなかろうか。

そう、「カワイイは正義」は本当に定義なのだろうか。

「定義」というのは、新しい概念を作る際に、その概念が満たすべき必要かつ十分な条件を、既に定義された言葉を使って定めることである。

文脈からすれば、この歌詞は「「カワイイ」こととは「正義」であることである」という、「カワイイ」の定義なのだけど、あえて文脈を無視すればこの歌詞は「カワイイ」の定義もしくは「正義」の定義ということになる。

いずれにせよ、「カワイイ」と「正義」が互いに必要十分になる関係を得ることになる。

ここで一旦形式的な話をやめ、「カワイイが正義」の意味について考える。

これは普段、「カワイイならば正義」という捉え方をする(根拠は無いが、多くの人は否定しないと思う)。

すなわち、カワイイものはみな正義であるが、正義であるものがみなカワイイとは限らない、ということである。

(戦隊ヒーローなどはカワイくないが正義であ

る)

ということは、普段私たちは「カワイイは正義」のことを定義文だと思っていない。

そう、これは定理である。

定理とは、仮定されている公理から導かれる、定義された言葉を使って書かれる命題のことである。

「カワイイ」と「正義」にはそれぞれの定義があり、その定義によると、「カワイイは正義」が導かれるのだ。

例えば、「カワイイ」ものの定義は「見たら癒される」もの、「正義」なもののの定義は「人を助ける」ものだとする。

そして、「見たら癒されるもの」は「人を助ける」という公理が仮定されているとする。

すると、これらから「カワイイは正義」を証明することができる

定義は証明できない。

定理だから証明できるのである。

定義と定理は全く異なる意味なので、間違えてはいけない…

 

ーーー

 

続いて(!?)、2015年放送のアイカツ!4thシーズンにて登場した、「シアワセ方程式」という曲に、こんな歌詞がある。

 

あなたが笑う 私も笑う おんなじシアワセ満たす方程式

 

問題となるのは、聡明なみなさんならもうお分かりだろうが、「おんなじシアワセ満たす方程式」の部分である。

体言止めを解消してSVOの形に直すと、これは「方程式が おんなじシアワセを 満たす」ということである。

ここで、数学における「条件」について考える。

「条件」とは、(例えば「xの条件」であれば)「x」を含む文であり、「x」を具体的なモノ(きちんと定義されたモノ)に置き換えると真偽が定まる命題になるものである。

例えば、「xの方程式」は「xの条件」である。

「2x-1=0」などと書いてあれば、これ自体の真偽は無いけど、例えばx=1とすれば真偽が定まる。

(偽になる。真になるのはもちろんx=1/2のとき)

こういうとき、今xに当てはめて真になったモノ、1/2は「条件を満たす」という。

つまり、条件に関する文において、「◯◯は△△を満たす」と言ったなら、△△は条件、◯◯は(条件を真にするような)モノ、ということになる。

ここで、「方程式は おんなじシアワセを 満たす」に戻る。

方程式は、普通「条件」として扱う。

なので、「◯◯は方程式を満たす」などと言うが、歌詞では「方程式は△△を満たす」となっている。

通常の言葉の使い方なら「おんなじシアワセが 方程式を 満たす」となるはずなので、この歌詞はおかしい!

 

・・・とも言えない。

この歌詞の意味を考えよう。

「あなたが笑う 私も笑う おんなじシアワセ満たす方程式」ということだけど、ここで言う「おんなじシアワセ」とは「あなたが笑う」ことと「私も笑う」ことが同じだと言っているのだろう。

だとすると、ここでの「方程式」とは、「あなたが笑い、私も笑うモノ」であると読める。

方程式のおかげで、あなたも私も笑うのだ。

ということは、「方程式」は「あなたが笑い、私も笑う」(⇔おんなじシアワセ)という条件を満たす

すなわち、「方程式が△△を満たす」という形で書かれて然るべき状況である。

先ほど「◯◯が△△を満たす」の◯◯にはモノ、△△には条件が入り、方程式は条件だと言ったけど、条件はモノである。だから◯◯に条件を入れることはなんの問題も無い。

この歌詞では、「方程式」を条件として扱っているのではなく、単なるモノとして扱っているのである。

「方程式」「満たす」という言葉が並んでいるからつい惑わされてしまったけど、この「方程式」と「満たす」は関連性の無い言葉として扱われていた。

正直、そんな言葉の使い方は不自然だと思うし、作詞者も「方程式」だから「満たす」という言葉を(不自然だと気づかずに)使ったのだという風にメチャメチャ見えるけど、まあそんなことはどうでもよい…

 

ーーー

 

日常において、数学の話ではないけど数学用語を使いたくなることが、あると思う。

そんなときは、ぜひ一度、使おうとしている数学用語の正しい定義、意味、使い方を調べてみてから、正しい使い方をしてほしいと思う。

別にわざわざ調べることでもないと思う方は、まあそれでもよい。

そのまま間違った言葉を使い続けてあそばせ…

(完全に余談だけど、「母数」という言葉は数学をやらないほぼすべての人が間違った意味で使っている。よかったら正しい意味を調べてみてみるとよい)

 

それでは。

 

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